2021/09/07
当院の歯科衛生士が歯医者さんで行う歯周病治療の一連の流れについてお話ししていきます。
みなさん、歯が痛くて歯医者さんに行ったのになぜか歯茎の検査をされたという経験はありませんか?または、歯茎の検査はちくちくして痛いし血が出るし出来ればやりたくないな…という方もいらっしゃるのではないでしょうか?
実は、歯茎の検査はとても重要な検査になります。今回は、その歯周病治療の第一歩となる歯茎の検査についてお話ししていきます。
歯周病とは細菌感染によって引き起こされる、歯茎の炎症性疾患の一つです。歯の周りの歯茎や、歯を支える骨などが溶けてしまう病気です。
当院では、はじめて来院された患者さまには、歯科医師の指示の元、歯科衛生士が歯茎の検査を行なっています。歯茎の検査では、いろんなことを知ることができます。
そして、歯科医師がより詳しい診断をするためには、歯茎の検査はとても重要になります。
では、歯茎の検査でわかる、こちらの4つの項目について説明していきます。
1.歯茎に炎症が起きていないか
2.見えないところに歯石がついていないか
3.歯周病がどれくいらい進行しているか
4.歯の根が割れている可能性はないか
1.歯茎に炎症が起きていないか
歯茎の検査でわかる1つ目は、『 歯茎に炎症が起きていないか』を調べます。歯周病には2種類あるのはご存知でしょうか?
まず、歯は骨(歯槽骨)によって支えられています。骨は、歯ぐきで覆われていて、歯と歯ぐきの間には「歯肉溝」とよばれる溝があります。
歯は歯槽骨と呼ばれる骨によって支えられています。歯槽骨は、歯ぐきで覆われていて、歯と歯ぐきの間には「歯肉溝」とよばれる溝があります。
歯と歯茎の境目にプラークや歯石が付着することで、歯ぐきや歯を支えている骨などに炎症が起こっている病気の総称です。そして、歯周病は「歯肉炎」と「歯周炎」の大きく2つに分けることができます。
歯肉炎:歯ぐきだけに炎症を起こし、歯みがきをしたときにときどき血が出たり、歯ぐきが少し赤く腫れたりします。
歯周炎:歯肉炎が進行した結果、炎症が歯ぐきだけでなく、歯を支える骨やそのまわりの組織まで広がった状態のことをいいます。歯ぐきの腫れや出血に加えて、歯のぐらつきや噛んだときの痛みなどの症状が出ることがあります。
歯ぐきの検査では、歯茎は健康な状態なのか、歯肉炎や歯周炎なのかを知ることができます。
2.見えないところに歯石がついていないか
歯茎の検査でわかる2つ目は、『見えないところに歯石がついていないか』を調べます。歯石には、種類があるのを知っていますか?
みなさんが普段目にすることがある歯石は、クリーム色をしていますが、歯ぐきの上についているため鏡で確認することができます。これを「歯肉縁上歯石」といいます。
ですが、もう一つ、普段目にすることのない「隠れ歯石」というものが存在します。隠れ歯石は、血液成分を含むため黒い色をしています。これを「歯肉縁下歯石」といいます。
3.歯周病がどれくいらい進行しているか
歯茎の検査でわかる3つ目は、『 歯周病がどれくいらい進行しているか』を調べます。
「歯周ポケット」という言葉を聞いたことはありますでしょうか。
先程、歯と歯茎の境目に、歯肉溝という溝があることはお伝えしましたね。歯周病が進行すると、歯周ポケットはどんどん深くなっていきます。健康な歯ぐきは、この溝の深さが1~2mm程度ですが、溝にプラークが溜まり、プラークの細菌により、歯ぐきが炎症を起こして、腫れることで溝が深くなっていきます。これを「歯周ポケット」といいます。
歯肉炎から、重度歯周炎になるまでの過程を、図を用いて説明していきます。
健康な状態のときには、歯ぐきが歯にぴったりと密着しています。歯周ポケットの深さは1~2mm程度になります。
歯肉炎では、歯ぐきに炎症が起こり、歯ぐきが赤く腫れて歯みがきで出血することもあります。歯周ポケットの深さは3mm以内になります。
軽度歯周炎では、歯ぐきが赤く腫れ、歯みがきや食事の際に出血するようになります。また、歯を支える骨が破壊され始めるため、指で歯を押すと前後に動くようになります。歯周ポケットの深さは3~4mm程度です。
歯ぐきがぶよぶよと腫れぼったくなったり、出血が増え、膿が出ることもあります。歯ぐきが痩せて、歯が長くなったように見えたり、歯を支える骨がさらに破壊され、歯が前後・左右にぐらつくようになります。歯周ポケットの深さは4~6mm程度になります。
歯を支える骨が大きく溶かされ、歯周ポケットも深くなり、歯のグラつきがひどくなります。歯ぐきが真っ赤に腫れあがり、膿が出て、出血もひどくなります。歯周ポケットの深さは6mm以上になります。
歯ぐきの検査では、歯周ポケットの深さを確認し、歯周病の進行具合をみていきます。
4.歯の根が割れている可能性はないか
歯茎の検査でわかる4つ目は、『 歯の根が割れている可能性はないか』を調べます。
歯が痛いのに、なぜか歯茎の検査をされたという経験は方はないでしょうか。歯の痛みは、もちろん虫歯が原因であることもありますが、歯が割れてしまっている場合も噛むと痛いなどの症状がでます。
また、一部分だけ、かみ合わせが強かったり、歯ぎしりや食いしばりが過剰な負担になっている場合、歯に痛みがでたり、歯を支える骨が部分的に吸収し、歯周ポケットが深くなります。
そのため、一見歯の痛みと歯茎の検査は関係がないように思われるかもしれませんが、実は歯茎にはたくさんの情報がありますので、歯が痛い場合にも根が割れていないかを調べるため、歯茎の検査を行っています。
歯茎の検査は一本の歯を6箇所に分けて、歯周ポケットの深さを測定していきます。測定する箇所も多いため時間を要しますし、チクチクする感覚があるかと思います。
歯周ポケットの隙間に器具を入れる際、健康な歯茎の状態でしたら、痛みを感じることはほとんどありません。しかし、歯茎から出血があったり腫れている場合は、歯茎の炎症が強いため、触れることでの刺激で、痛みを感じることがあります。
歯茎の炎症は、歯磨きをすることによって、歯垢またはプラークを取り除いたり、歯科医院で歯石を取り除くことで、細菌を減らすことが出来て、歯茎が健康な状態に改善されれば、検査時の痛みは減っていくことになります。
いかがでしたでしょうか。
当院の歯周治療に関してご説明しました。この内容を当院の歯科衛生士が説明している動画もぜひご覧ください。